KTC大学連携型地域知財モデル事業

平成29年度 第一回KTC大学合同新技術説明会(テーマ:自動車関連技術・ものづくり技術)

生物機能を応用したポリエチレンの化学的改質法~不可能なものを可能にする発想法について~

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新技術の概要(発明のポイント)

ポリエチレンは耐溶剤性に非常に優れた材料として幅広く用いられている。一方で、その性質故に接着性や染色性がない材料としても知られている。当該新技術は、側鎖に長いアルカン鎖を有するモノマーと、接着性などの機能を持つモノマーからなるブロック共重合体を用いることで、ポリエチレン表面に任意の性質を持つポリマーブラシを植え付け、化学的な改質を可能としたものである。

従来技術・競合技術との比較

従来の表面特性改質法はプラズマなどの物理的な手法で高分子鎖を切断し、ラジカルを発生させる手法であったが、この手法では改質できる面が照射面に限定され、陰や細孔内部の改質が不可能であること、力学的強度が低下するために薄膜には利用できないなどの欠点を有していた。

新技術の特徴

側鎖に長鎖アルカン鎖を持つ高分子はポリエチレン表面の分子と協同して擬結晶を形成する結晶化超分子間力を発揮することを見出した。この原理を利用した改質は、希薄溶液に浸漬するだけで化学的な改質が可能である。また温度により改質効果をコントロールすることも可能である。

想定される用途

・ポリエチレンへの接着性・染色性の付与
・高機能リチウムイオン2次電池セパレータなどのエネルギー用途
・細胞親和性をもつ、温度応答性バイオ基材

特許情報

[出願番号]特開2017-036397、特開2016-209879、特開2016-079389、特開2015-229725、特開2015-074633、特開2015-061900

[出願公開広報の発行状況]